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【大野裕の言の葉だより】 第16回『日本認知療法・認知行動療法学会福岡大会に向けて』

2024年07月22日 22:42

 大野裕の言の葉だより 

メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.16 [2024/7/7配信]


第16回

『日本認知療法・認知行動療法学会福岡大会に向けて』

今月は福岡で日本認知療法・認知行動療法学会が開かれます。
日本不安症学会との共同開催で、ベックCBT研究所から、
Acting executive directorのAllen Miller先生が参加して7月19日(金)の海外招聘講演に加えて、
7月21日(日)のリカバリーを目指す認知療法のワークショップで簡単なコメントをいただけることになっています。

私も、特別講演とイブニングセミナーの二つの大役をいただいていますが、
今回は面接ビデオを使って認知行動療法の実際を感じていただける話をしたいと考えています。
その理由をイブニングセミナーの抄録に書いたので、その内容を少し紹介します。

認知行動療法がわが国に紹介されて40年近く経って医療はもちろん、教育や司法など、
多くの領域で活用されるようになりました。
しかし、その反面、研修の体制が不十分で、思考記録表などのツールを型どおりに使うことが
認知行動療法であるかのように誤解されている面があり、ガラパゴス化していると批判されることもあります。


その理由は、認知行動療法が翻訳文化から抜け切れていないためだと、私は考えています。
海外の書籍を翻訳し、それを実践に生かしていくことは大事ですが、
書かれたものにとらわれすぎると、相談者に寄り添いながら一緒に現実に目を向け、体験を通して認知や行動を検証するという認知行動療法の本質的な部分が見失われる危険性があります。
マニュアルに縛られ、思考記録表などのツールの使い方に目を奪われ、悩んで相談に来た人に目が向かなくなります。

これは、相談者にとって不幸であるだけでなく、セラピストが成長していく機会を奪うことにもなります。
セラピストもまた、相談者に教えられながら一緒に成長していけるからです。
そのためには実際の面接動画を観ていただくのが役に立つと考え、
特別講演ではAllen Miller先生のロールプレイの動画を、
イブニングセミナーでは私自身が患者さんと面接しているNHK厚生文化事業団の
ビデオ「うつ病」の中の面接動画を流す予定でいますので、関心のある方はぜひご参加ください。


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