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【大野裕の言の葉だより】 第20回『CTR-Sの評価項目』

2024年10月05日 17:59

 大野裕の言の葉だより 

メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.21 [2024/9/18配信]


第20回
『CTR-Sの評価項目』

前回書きもらしましたが、認知療法評価尺度CTRSも改訂版のCTRS-Rも、面接の録音記録をもとに評価されます。認知行動療法に限ったことではないのですが、以前、スーパービジョンでは、面接記録を治療者が書き起こしてスーパーバイザーと呼ばれる上級の指導者の指導を受けていました。

しかし、面接後に書き起こすのでは記憶が曖昧になったり忘れたりすることがあることから録音が使われるようになってきました。現在、国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターが厚労省の補助を受けて行っている うつ病の認知療法・認知行動療法のスーパービジョンで、録音をして指導を受ける仕組みが取り入れられています。また研修では基本的に、指導を受ける治療者が録音を聴きながら書き起こしをするように指導されているのですが、それは、自分の面接を振り返ってスキルアップしていくのに役立つからです。

さて、認知行動療法の質を評価する認知療法尺度改訂版(CTRS-R)では、CTRSと同じように、次の11項目を評価します:アジェンダの設定、フィードバック、理解力、対人能力、協働作業、ペース調整および時間の有効使用、導かれた発見、重要な認知または行動への焦点づけ、変化に向けた方略、認知行動的技法の実施、ホームワーク(アクションプラン)。

このうちのフィードバック、理解力、対人能力、協働作業、ペース調整および時間の有効使用、導かれた発見は、面接の基礎とも言える項目で、面接を通して評価されます。また、アジェンダの設定は面接の序盤で、重要な認知または行動への焦点づけ、変化に向けた方略、認知行動的技法の実施は面接の中盤で、ホームワーク(アクションプラン)は面接の終盤で評価されます。

次回から、個々の項目の内容と評価基準について説明をしながら、認知行動療法の進め方について説明していくことにします。

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