【大野裕の言の葉だより】 第24回『CTRS-Rの評価項目:協働作業』
2024年12月29日 11:13
大野裕の言の葉だより
メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.25 [2024/12/10配信]
第24回
『CTRS-Rの評価項目:協働作業』
協働作業がCBTにおいて非常に重視されるのは、クライエントがセラピストの助けを受けながら現実に目を向け、体験を通して自動思考を検証するcollaborative empiricism(協働的経験主義)が認知行動療法の中核的な考え方だからです。
認知行動療法のセラピストは、多くの時間を使って勉強しスーパービジョンを受けるなど、努力を積み重ねて認知行動療法のスキルアップを図ってきました。その点で、認知行動療法の専門家ということができます。
一方、クライエントは、自分自身と自分の人生の専門家で、自分にとって何が最も良いかということを、これまでの人生でわかっています。 認知行動療法は、この二人の専門家が力を合わせることで治療効果を上げます。
ですから、CBTのセラピストはセッション中にクライエントとよく話し合い、重要な決定をするときには、必ずクライエントの意見を求め、よりよい形で協働作業を進めることができるようになります。なかでも、以下の3つについては、かならずクライエントに意見を求める必要があります。
アジェンダの設定:アジェンダを設定する際、クライエントに意見や同意を求め、その意見に適切に対応しなくてはなりません。
技法の選択: CBT技法を選択または使用する際、クライエントに意見/同意を求め、その意見に適切に対応しなくてはなりません。
アクションプラン(ホームワーク): セッションとセッションの間に行うアクションプランを決定するときにはクライエントに意見を求め、同意をえる必要があります。さらに、クライエントが意見を述べたときには、適切に対応しなくてはなりません。
さらに、セラピストが、セッションを通して、セッションに関するすべての重要な決定についてクライエントの参加/同意を求める一貫した努力をし、クライエントの反応に適切に対応し、その結果、お互いが同じ方向に向かってセッションを進められるようになった場合に、協働作業が最も良い形で行われたと評価されます。
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