【大野裕の言の葉だより】 第25回『CTRS-Rの評価項目:ペース調整』
2025年01月13日 18:48
大野裕の言の葉だより
メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.26 [2024/12/30配信]
第25回
『CTRS-Rの評価項目:ペース調整』
定型的な認知行動療法の面接の長さは40分から60分の間で、その配分は以下のようになります。
クライエントとセラピストが時間を管理できるように時計を二つ用意して、それぞれ見えるところに置くようにします。
序盤:前回のセッションからの橋渡しと今回のセッションのアジェンダ設定に10分
中盤:エビデンスに基づいた技法を用いてアジェンダに取り組むのに30分
終盤:フィードバックとアクションプランの作成に10分
ただし、クライエントのニーズや能力によっては、セラピストの責任でセッションのペースを変えるようにします。
評価にあたっては、序盤(約10分)、中盤(約30分)、終盤(約10分)の構造を守れていれば2点になります。
各区分の移行がスムーズに行われ、周辺的な議論や非生産的な議論を必要に応じて制限し、
45~55分以内で面接が終わっている場合に3点と評価されます。
これが一般的な認知行動療法の時間配分ですが、面接に50分の時間を使えない人も多いと思います。
その場合は、クライエントと自分にとって安心でき、続けて面接する時間を、クライエントと一緒に決めるようにすると良いでしょう。
じつは、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間会うのが一番効果的かというしっかりとしたエビデンスはありません。
ですから、お互いに無理のない時間を決めた方が面接の質は上がります。
だからと言って、60分以上面接すると精神的に疲労するので、
トラウマ治療のときなど特別な場合を除いて、60分以内で面接を終えるようにした方が良いでしょう。
ただし、時間がどうであっても、序盤、中盤、終盤の構造と1:3:1という時間配分は守るようにしてください。
そうすることで、お互いに安心して面接を進めることができるからです。
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