【大野裕の言の葉だより】 第36回 『アーロン・ベック・デイ』
2025年08月01日 14:17
大野裕の言の葉だより
メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.37 [2025/7/18配信]
第36回
『アーロン・ベック・デイ』
7月18日は、アーロン・ベック先生の誕生日です。
ベック先生の関係者はアーロン・ベック・デイと呼んで、ベック先生にまつわる特別な活動をします。私は、先生の歴史的な名著『うつ病の認知療法』の第2版の日本語版を出版したことを報告したいと考えています。
その本のなかには、初版が出版されてから50年経過して特筆すべきこととして、ネガティブ感情に意味があると考えられるようになったことが書かれています。
うつ、不安、怒りといったネガティブ感情は、できれば体験したくありません。
しかし、体の痛みもこころの痛みも、私たちを守る役目を果たしています。
うつ気分には、良くないことが起きたときにちょっと立ち止まって対応策を考えるように促す働きがあります。不安は、危険なことが起きる可能性があるときに、慎重になるように伝える働きをしています。怒りには、ひどいことをされたときにこころのエネルギーを解放して反撃し、自分を守る働きがあります。
ですから、身体に痛みを感じたときに何か問題がないか確認してみるのと同じように、こころに痛みを感じたときには、ちょっと立ち止まることが大切です。
そして、何か問題が起きていないかどうか確かめ、問題があるときには、それにどのように対処するのが良いかを考えていくようにします。
『うつ病の認知療法第2版』には、その時に、単にこころの痛みを取るだけではなく、その痛みの体験を生かして自分らしく生きていけるようにすることが大事だと書かれていて、そのために役に立つ認知行動療法の考え方やアプローチが紹介されています。
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