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【大野裕の言の葉だより】 第21回『CTRS-Rの評価項目:対人能力』

2024年10月22日 00:44

 大野裕の言の葉だより 

メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.22 [2024/10/6配信]


第21回
『CTRS-Rの評価項目:対人能力』

対人能力の項目では、セラピストが相談者に強い人間的な関心を持ち、相談者の前に向かおうと取り組む努力を強化しているかどうかを評価します。
そのポイントは以下の3つになります。

1)相談者への配慮を示し、相談者が目標を達成するのを助けたか?
相談者を無条件に受け入れ、心から心配していることが重要です。しかもセラピストは、自分が相談者に人間的な関心を持ち、役に立ちたいと考えているという思いを、言葉や身振り、表情を通して相談者に伝えるようにします。
相談に来ている相談者は、自分が誰からも受け入れられていないと考えて悲観的になっていることが多いので、セラピストのこうした治療的態度は、相談者の孤立感や孤独感を和らげ、治療関係を強化します。しかも、前に向いて進んでいこうという相談者の気持ちを後押しすることにもなります。

2)相談者がとった行動(アクションプランの完了など)に対して正の強化を行ったか?
セラピストは、相談者が実生活のなかでアクションプランを実行し確認したことなど、相談者が取り組んだ行動を強化していきます。またセラピストは、相談者が治療目標を達成するために変化を起こそうとしている努力を認め、相談者が努力していることを語ったときには、その経験を言葉に出して受け止め強調し、ポジティブな強化を行います。その際に、相談者が治療に取り組もうとしている思いや勇気を認め強化します。そうした関わりは治療関係を強化し、セッション中に相談者が適応モードに移行するのを助けます。

3)プロフェッショナルで倫理的な行動を維持したか?
よい治療関係と親しい友人との関係とは違います。セラピストは、相談者と一定の距離感を保つようにします。

この項目では、以上の3点に加えて、セラピストが、相談者の性格や特徴(強み、決意、思いやり、ビジョン、価値観、誠実さなど)を認める発言をし、言葉、身振り、表情を通して、温かさ、純粋さ、無条件の受容(批判をせずに)を示したかどうかも評価します。


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