【大野裕の言の葉だより】 第30回『CTRS-Rの評価項目:認知的技法の実施』
2025年04月14日 17:36
大野裕の言の葉だより
メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.31 [2025/4/2配信]
第30回
『CTRS-Rの評価項目:認知的技法の実施』
前回は、認知行動療法の方略(スキル)の選択をテーマにしましたが、次は、選択したスキルの実施方法について評価します。
選んだスキルを使用するときには、効果が実証されているプロトコルに沿って行います。
その際は、スーパーバイザーなど他の人が認識でき、クライエントの変化を促進する可能性が高い形で使う必要があります。
そのために、セラピストが十分に訓練を受け、練習している必要があるとされています。
そのときに、変化を求めすぎるのは好ましくありません。適切に方略(スキル)を使ってもすぐに変化できるわけではありません。
ですから、ここでは、プロトコル通りに行われているかどうかを評価します。
つまり、成果を焦らないことが大事で、クライエントがその後も上手にスキルを使える力を身につけられるように指導していきます。
例えば、認知行動療法で認知再構成法と呼ばれるスキルの一つにコラム法を使って自動思考を検証していく方法があります。
気持ちが揺れた瞬間を切り出して、そのときにどのような出来事があって、どのような気持ちになり、どのようなことを考えたかを書き出します。
その上で、現実の出来事と照らし合わせながら、その考えの妥当性を検証し、より適切な判断ができるようにしていくアプローチですが、これは必ずしも順番に実施する必要はありません。
クライエントの状況を見ながら、行きつ戻りつして自分を振り返ることが大切なのですが、ここでは、そうしたことが適切にできているかどうかを評価します。
評価にあたって、方略(スキル)を適切に使えていない場合には1点になります。
はっきりとわかる形で変化が期待できるように方略(スキル)を使えている場合に2点、エビデンスに基づいて自然な形で使えている場合に3点になります。
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