【大野裕の言の葉だより】 第29回『CTRS-Rの評価項目:変化に向けた方略』
2025年03月30日 00:00
大野裕の言の葉だより
メールマガジン 「ぬくもっとメール」 vol.30 [2025/3/20配信]
第29回
『CTRS-Rの評価項目:変化に向けた方略』
中心となる認知または行動を明らかにした後、クライエントと協働して、エビデンスに基づいた最も適切な介入技法を選択します。
同じ課題に対して複数の方略(スキル)が使える場合は少なくありません。
CBTIP-IIの動画では慢性痛のクライエントが取り上げられていますが、
その場合、心理教育、認知再構成、行動実験、リラクゼーション・トレーニングなどが選択肢として考えられます。
心的外傷後ストレス症(PTSD)と診断されたクライエントには、
PTSDの治療には、定型的な認知行動療法、認知処理療法、持続エクスポージャーなど、さまざまなエビデンスに基づいた方略(スキル)があります。
ですから、ひとつの方略(スキル)だけにとらわれないようにする必要があります。
方略(スキル)の選択は、以下の二つのステップで行います。
ステップ1:焦点を当てた課題に適用できる、エビデンスのある方略(スキル)を提案します。
その際は、複数の方略(スキル)を提案し、それぞれの方略(スキル)に関して説明します。そして、クライエントが疑問を感じた場合には、質問に答えるようにします。
ステップ2:クライエントと話し合って使用する方略(スキル)を決めます。
このようにして、アジェンダに最も適したエビデンスに基づく方略(スキル)が決まれば、そのうちのひとつを選択して使います。
そのときに、可能であれば、他の治療の選択肢も提案して、先に進める前にクライエントの了解を得るようにします。
評価に当たって、選択した方略(スキル)がエビデンスに基づいたものでなかったり、クライエントがその方略(スキル)を理解していなかったり、それを使うことに同意していなかったりした場合は、1点をつけます。
評点が2となるのは、セラピストが、エビデンスに基づいたテクニックを少なくとも1つ特定して、それについてクライエントと話し合った場合です。
評点が3になるためには、セラピストがその方略(スキル)を使用する根拠を説明し、可能であれば他の選択肢も提案し、実施する前にクライエントの許可を得ている必要があります。
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